執筆者
星屋会計事務所
代表税理士 星屋 宏樹
略歴
- 1987年岐阜県立益田高等学校 卒業
- 1990年近畿合同会計事務所(現税理士法人近畿合同会計事務所)入所
税理士試験合格 - 1992年税理士登録(近畿税理士会 東淀川支部所属)
- 2005年星屋会計事務所開業
財産を生前に渡すことで、相続税の負担を軽減できる場合があります。しかし、贈与には「贈与税」がかかります。贈与税の仕組みを理解しておかないと、思わぬ税負担が生じることもあります。
贈与税とは、個人から財産を無償で受け取った時にかかる税金です。現金だけでなく、不動産や有価証券、車なども贈与税の対象となります。
贈与税は、財産を受け取った側(受贈者)が申告・納付します。1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額に対して課税されます。
贈与税には、年間110万円の基礎控除があります。1年間に受け取った財産の合計が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も不要です。
この仕組みを利用して、毎年110万円以内で財産を渡していく方法を「暦年贈与」と言います。長期間にわたって計画的に贈与を行うことで、相続財産を減らし、将来の相続税負担を軽減できる可能性があります。
暦年贈与を行っていても、相続が発生した際に注意が必要なルールがあります。
相続人に対して行った贈与は、相続開始前の一定期間内のものが相続財産に加算されます。以前はこの期間が「3年」でしたが、税制改正により「7年」に延長されました。
つまり、亡くなる前7年以内に相続人へ贈与した財産は、相続税の計算上、相続財産に含めて計算されることになります。早くから贈与を始めて7年以上経過していれば、その分は相続財産に加算されません。相続対策としての贈与は、早めに始めることが重要です。
7年間の持ち戻しルールは、「相続人」に対する贈与が対象となります。
孫は、原則として相続人ではありません。そのため、遺言書で財産を渡すなど特別な事情がない限り、孫への贈与は7年ルールの対象外となります。孫に贈与した財産は、1年目から相続財産に加算されずに済むのです。
一方、子供は相続人ですので、7年間の持ち戻しの対象となります。同じ贈与でも、誰に渡すかによって相続税への影響が変わってきます。相続対策として贈与を検討される際は、贈与先も含めて計画的に考えることが大切です。
贈与税には、「暦年課税」のほかに「相続時精算課税制度」という方法もあります。
相続時精算課税制度は、60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与について、累計2,500万円まで贈与税がかからない制度です。ただし、贈与した財産は相続時に相続財産に加算され、相続税として精算されます。
この制度を選択すると、その後は暦年課税に戻すことができません。どちらが有利かは、財産の状況や将来の見通しによって異なりますので、慎重に判断する必要があります。
一定の要件を満たす贈与については、非課税となる制度があります。
親や祖父母から住宅を購入するための資金を贈与された場合、一定額まで非課税となります。
30歳未満の子や孫に対して、教育資金を一括で贈与した場合、1,500万円まで非課税となります。金融機関での手続きが必要です。
18歳以上50歳未満の子や孫に対して、結婚・子育て資金を贈与した場合、1,000万円まで非課税となります。
これらの制度には、適用期限や細かな要件がありますので、利用を検討される際は事前にご確認ください。
贈与を行う際に注意したいのが「名義預金」の問題です。
名義預金とは、口座の名義は子供や孫になっているものの、実際には親や祖父母が管理している預金のことです。形式上は贈与したように見えても、実態として財産が移転していなければ、贈与とは認められません。
税務調査で名義預金と判断されると、相続財産に含めて計算されることになります。贈与を行う際は、受け取った側が実際に管理できる状態にしておくことが重要です。
大阪市東淀川区・新大阪にある星屋会計事務所では、贈与税や生前対策に関するご相談を承っております。「毎年いくらまで贈与できるのか」「孫に贈与した方がいいのか」「相続時精算課税制度を使うべきか」など、ご状況に応じてアドバイスいたします。
相続対策としての贈与は、早く始めるほど効果が出やすくなります。将来の相続に備えて、計画的な対策を検討されてみてはいかがでしょうか?